98.テスト界隈で使われる言葉『QA=テストすること?』
QA=テストすること?
前に「QA=テストすること?」といったことが話題になったことがありました。
答える人によって「大体そんな感じ」という人もいれば「全然違う!」という人もいたりしたかと思います。
これは恐らく自分の会社のQA組織ががどのレイヤーにフォーカスしているか、どんな目的で活動しているかによって答えがわかれるのだと思います。
QAの話は、JaSST'19 Tokyoの秋山さんの「QA入門」の資料がとても分かりやすいです。
http://jasst.jp/symposium/jasst19tokyo/pdf/D4-1.pdf
プロダクト(商品)品質にフォーカス
ユーザーが直接触るものはプロダクトです。
このプロダクトがちゃんとしてないといけません。
ちゃんとしている、というのはバグがないこと……ではなくて、ユーザーが期待する価値(要求やニーズなど)が提供できている状態のことです。
その「このプロダクト、ちゃんと価値提供できてるかなー」の確認手段としてレビューやテストがあります。
なので、例えば一つのプロダクトにフォーカスし取り扱っているチームは、QA=テストすること、といったイメージになるかと思います。
プロダクト品質に着目してるときは、それぞれのプロダクトごと……つまり「単発」で品質保証をしている形かと思います。
業務品質にフォーカス
プロダクトを生み出すのはプロジェクトやチームです。
そのチームにレビュープロセスが存在しないとしたら?
テストが管理されていなかったら?
ブランチ戦略が曖昧で、みんなが「どうするんでしたっけ」と迷ってたら?
開発の人が「確認はテスト側に任せておけばいい」と言っていたら……?
業務品質が低いチームからは、プロダクト品質が低いモノがポンポコ生み出されます。
その生み出され続けるモノに対して全部テストでカバーしようとすると、疲弊し、プロジェクトが燃えたり、チーム内で対立したりします。
この業務品質を上げる、という活動もまた大切です。
業務品質が高いチームからは、やっぱりそれ相応なプロダクト品質高めのモノが生み出されることが多いです。
例えばデプロイメントパイプラインを整えたり、仕様確定の際にUXチームに見てもらうフローにしたり、バグ管理方法を整えたり、e2e自動テストを導入したり、品質意識の向上活動を行ったり。
チームにフォーカスした様々なカイゼン活動が考えられます。
業務品質に着目すると、プロダクトごとの「単発」の品質保証から、組織的な「継続した」品質保証ができる形になるかと思います。
企業品質にフォーカス
色んなチームでコツコツとカイゼンを重ね、そこからプロセスやベストプラクティスなどなどが全社的に広がり、みんなで協力しユーザーの求める価値にフォーカスできているプロダクトを世に送り出し続けていくと、「〇〇社のモノだから優れている!」といったユーザーの認識が生まれます。
ブランドですね。
任天堂の商品だから子どもでも安心して遊べる
とか
Googleのサービスだからクールなユーザー体験を得られるに違いない
などなどですね。(例についての異論は置いておいてくださいね)
企業品質レベルのお話になるとあまりブログなどでは見かけないのですが、前に話題になったグロービスさんはこのレイヤーのお話をなさっていますね!
前々回のテスターちゃんで、全てにおいて目的が大事といった話を書きましたが、上の記事では辿り着きたいゴール(超長期のビジョン)を持っていらっしゃって、スゴイ、見習わねば、と思った次第でした。
アプローチとしては、地道な草の根運動で品質保証意識を根付かせる他、全社的なテストポリシーの策定、テスト戦略の策定、といった話があるかと思います。
ここら辺はそこまで詳しくないのでこれくらいです。
品質の定義
最後に品質の定義でも。
JISQ9000:2015 品質マネジメントシステム-基本及び用語
3.6.2 品質(quality)
対象(3.6.1)に本来備わっている特性(3.10.1)の集まりが,要求事項(3.6.4)を満たす程度。
注記1 “品質”という用語は,悪い,良い,優れたなどの形容詞とともに使われることがある。
注記2 “本来備わっている”とは,“付与された”とは異なり,対象(3.6.1)の中に存在していることを意味する。
クロスビー
要求への適合
誰かにとっての価値
保田先生
品質は、ユーザーにとっての価値である。
どなた?
品質は、ユーザにとっての満足度(CS)である。
ジェームス・マーチン
システムが本稼働するとき、どこまで真のビジネス(ユーザ)ニーズに合っているかということ